2010年10月9日土曜日

「ねじまき鳥 クロニクル」

 村上春樹著 「ねじまき鳥 クロニクル」を読みました。第一部~第三部までの全三冊。新潮文庫から出ています。

 本の紹介をするとき、これから読む人の興を削ぐことにならないように、内容についてはあまり触れないようにしています。今回もそうします。
「海辺のカフカ」を読んだときにもそうだったのですが、読後、全ての謎がすっきりと解けた訳では有りませんでした。物語の中には様々な人々、様々なエピソードが出てきて、ぐぐぅーっと引き込まれるのですが、全ての登場人物、全てのエピソードにキッチリとオチが付くわけではなく謎は謎として残る部分もある。
推理小説ではないのでそれはそれでよいと思います。

 1~3部の文庫を積み重ねるとまあまあ結構な厚さです。しかし、読み始めるとULVACの真空ポンプのような吸引力で読者を作中世界に引っ張り込み、最後の1ページまで目が離せない。結論から言えば、とても面白く読むことができました。

 小川糸さんの「食堂かたつむり」は本当に完成度が高く、最初から最後までどこにも瑕疵がない、故に読者は何の心配もせず物語の世界に身を委ねることが出来る、そんな感じの作品でした。私がこれまで読んだ小説のベストテンを挙げるとすれば間違いなく入ってくる傑作です。

 反対に「ねじまき鳥 クロニクル」はある意味、付け入る隙(?)はたくさんあると思います。クミコはどのように”損なわれて”主人公の前から姿を消したのか、加納クレタ・加納マルタ姉妹はその後どうなったのか、綿谷ノボルとは結局何者だったのか、飼い猫のサワラの役割も何やら重要そうではあったモノのいまひとつ不鮮明、平々凡々たる人生を歩んできた主人公はなぜこれほど大きな運命の変転に巻き込まれることになったのか、そして何より、結局「ねじまき鳥」って何だったのよー?などなど。これらの細部に関するはっきりとした結論づけはなされないまま物語は終わってしまう。
にもかかわらず、読者をぐいーっと引っ張り込み最後まで離さず、読後も「おおーっ、読んだー!」と納得させてしまう村上春樹の力量。「ねじまき鳥 クロニクル」、「海辺のカフカ」、いずれもやはり私の中ではベストテン入り必至の傑作なのです。

 細かな分析は書評家の方々に任せておくとして、村上春樹作品の魅力というか特徴は「現実と非現実のシームレスな共存」かな、と個人的には思っています。古くは「風の歌を聴け」、「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」の三部作から近作までこの点はあまり変わっていないように思えます。
娯楽として小説を読むのだからいっとき日常を忘れたいよね、でもあんまり非現実的だと興ざめするよね、という贅沢な要求に村上作品は苦もなく応えてしまう。
日常起こりうる出来事を淡々と積み重ねつつ読者に感動を与える「食堂かたつむり」、日常と非日常を巧みに織り交ぜ、多少の不可思議を残しつつ読者に満足を与える村上作品。方向性は違うけれどもどちらも大好きです。

2010年10月3日日曜日

もう徹夜はムリです

私、今年の6月で42歳。オジサンなんです。
仕事上でも以前はかなり夜遅く、時には朝まで頑張ったりもしましたが、今は遅くとも21時頃には帰宅するようにしています。
とはいえ、仕事上、どうしても徹夜しなくてはならない事態が生じ、先日の金曜日から土曜日の朝まで徹夜してしまいました。
事情は、とある装置を終夜(夜-夜中-翌朝)で運転しており、普段は隣接する工場の夜勤の方に
夜間の見回りをしてもらうことを条件に許可されているのですが、金曜日の夜は工場は夜勤を
やらないためこれまで金曜夜の運転はしないできました。
しかし、納期の関係でどうしても金曜から土曜にかけて動かさないわけにはいかなくなりました。
無人での運転は認められないためやむなく徹夜で監視することになった次第。
工場の夜勤の人に見回ってもらうのも、徹夜で監視するのも万が一の事故に備えてのこと。
深夜に何らかの事故が起こった場合、一人では対処できませんね、ということで徹夜の監視には
相棒が必要です。いつもの通り、徹夜の友は同じ開発推進部のピロシくん。

ピロシくん、先日子供さんが生まれて(女の子)、晴れてパパになったばかり。土曜日は出産直後の
ヨメと子供に会いに行く予定があるとのことで、早々にタイムカードを切り(退勤したという状態にして)、24時頃に無人の会議室のソファーで寝てしまいました。
二人必要といっても単に監視だけなので、一人は寝ていても影響はないのです。
(もしも何らかの非常事態になればもちろんたたき起こしますが。)
私の方は時々、実験室をのぞきにいきつつ、昼間出来なかった測定をこなしました。

一応、勤務時間なので(タイムカードを切ってしまったピロシは別ですが)本当は寝るのはダメですが、現実問題として昼間も普通に働いた後の徹夜なのでこのような場合、多くの人は仮眠をとります。私も別の部屋でいすを並べて横になったものの、なかなか寝られず。
そのうち眠気も去り、再び測定。(測定サンプルには事欠かないのです。)

やがて朝になり、7時頃に交代要員が来たので交代。帰宅しました。
思ったほど徹夜の疲れもなく、40歳をすぎたとはいえ、学生時代には体育会の空手部で鍛え上げたこの身体、まだまだその辺のワカゾーには負けんわ!と思ったのもつかの間、帰宅してシャワーしたら正体もなく眠り込んでしまいました。

そして更に一夜明けた今日、ダメージは思ったより甚大でした。ゴルフの練習に行っても体は思ったように動かないし、帰ってきたらすぐ寝てしまうし、寝てもまだ疲れているし、やっぱり昔みたいにはいきませんでした。
体が疲れると色々な面でクオリティが落ちます。思考もまとまらないし、メンタル的にもマイナス、勿論、体を使う作業もキツイ。
40代なりに疲れをためないように気を遣わなくては、と思った次第です。

といいつつ、来週の後半から1ヶ月間、朝4時起きの二交代勤務が待っているのですが...。